就活に失敗した新卒社会人のお話

就活に失敗しましたが、大企業で元気に法人営業をしています。社会人3年目。

【エッセイ】灯台下暗し。

この前、会社に出勤するために電車に乗っていたら、おじさん2人がケンカをしていた。

「ふざけんな!お前降りろ!!」

「お前が降りろよ!!」

と、車内全体に響き渡るような大きな声で、どちらが降りるかを言い争っていた。

50代前半くらいのいい大人が、大声出してしょうもない事でケンカをして、とてもみっともなかった。

 

おじさん達の周りの人も、チラチラ横目で見ながら呆れた顔をしていた。

こんなくそみたいな、止めたところで何も得をしないケンカに、冷たい視線を浴びせていた。

その視線は、まるでレーザービームのように冷たかった。

「こんなケンカ、気にしないでさっさと寝よ」

と思い、僕は電車の中で眠りに落ちた。

 

数十分経って目を覚ますと、おじさん達はまだケンカしていた。

「おいおい、さすがに駅員さん呼んだ方がいいだろ」

と思っていると、隣の車両から駅員さんがやってきた。

 

「よかった、これでおじさんいなくなる」

と思っていると、駅員さんはおじさん達を通り越して、僕の方に向かってきた。

 

駅員さん「ちょっと君、次の駅で降りてくれるかな?」

僕「え!?なんでですか!?」

駅員さん「なんでって、聞くまでもないでしょう」

 

 

そうだ、思い出した。

僕はこの日寝坊をしてしまって、準備を急ぐあまり、服を着るのを忘れてしまったのだ。 

申し訳ない気持ちでいっぱいになり、「すみません…」と駅員さんに謝罪をした。

 

そして僕は、全裸のまま、次の駅で降りた。

 

(全部嘘)